その時、校内放送が流れる。
お馴染みの音が流れてから。
『えー、1年7組の藤堂ー、1年7組の藤堂ー、至急職員室へ』
そこまで言ったところで、
「俺、呼ばれたから。」
その人は、私から腕を離した。
だから、その人の顔を見る。
「あ、今の─────。」
今の放送、あなたなの?
そう言おうとしたけれど、やっとこの人が誰だか気づいた。
この人。
あの人だ。
この間の、澄んだ声で「お願いします。」って言った人だ。
字が、上手な人だ。
「じゃ。」
と言ってどこかへ行こうとする。
しかし、まだ墨は取りきれていない。
「待って!」