あ............。
涙が出てきてしまった。
私はまだこんなに陽を諦めきれてなかった。
陽の一言だけで、こんなに感情が動く。
たった、一言で。
「どうしてだよ~。」
と、先程と同じようなテンションで言う陽の友だち。
「何かエピソード、エピソード話せよ。」
もう、ムカつく。
陽もまとめて三人とも殴ってやりたい。
特にこの陽の友だちの二人。
最低だよ。
私たち二人だけの問題に踏み込んでくるのも、それを楽しそうにネタの題材として話すのも、最低。
最悪。
そしてそれをわざわざ聞いてしまう私も。
あの時、通り過ぎていればよかったのに。
「俺が優と街を歩いてるとよく優の友だちに会うんだけど、」
エピソードを話し出した陽の言葉をそこまで聞いて、私は走り出した。


