「..................いいな。」

そう、声を漏らすとすかさず。



「藤堂、だろ。」




ほら、突いてきた。
すごいな。

って、まあ大体の悩みが陽のことだから、分かるか。



「................うん。」

「別にさ、
言いたくなかったら何があったとは聞かない。
あんまり、言いたくないだろ。」

「.............ん。
でも、現実を受け止めることが出来ないっていうか、
夢だったら、って思うの。
私は、あんなの見てないって。

それって、だめだと思う??」

「だめ..........というよりも、
“あんなの見てない”って思いたいってことは、優は見たくないもん見たってことだよな。」

「...................うん。」



相手は電話で話しているのに、
頷いてしまう。

きっと、西が優しい口調だから。