「真可。」 「まなかってゆーんだ。漢字見たとき、”まか”って読むのかと思った!」 「それよく間違われるんだよね(笑)」 そう言うと橘樹くんはまた無邪気に笑ってあたしの方に近づいてきた。 目の前まで来ると、少し顔を近づけてくる。 ななななに!? びっくりして少し後ずさりすると、橘樹くんは身を引いて机にもたれかかった。 そのとき、一瞬。 彼の口元が笑ったような気がした。 「まなかってさ、恋愛経験ないでしょ。」