空の下の約束

今膝の上に置いてあるドレスを布団の中に慌てて押し込み、どうぞと声をかける。


おじゃましますと入ってくる星野先生。


「どう？少しは眠れたかな？」


そう言ってベッド脇にある一脚の丸いすに腰掛けた。


「はい…」


「退院の手続きは終わった？」


「それは…まだ…」


さっきの出来事もあり恥ずかしさと申し訳なさで星野先生の顔を見れない。


「飯田さん？」


「はい…」


「ごめんね…ナースのこと僕から謝るよ。軽率で君を傷つけてしまったね」


思わず勢いよく顔を上げて星野をみる。


その顔は本当に申し訳なさそうで、少し俯いてる姿は威厳も何にもない普通の男性だった。


「あっ、あの、いいんです。私も先生に謝らなければならないし。さっきはあたってしまってごめんなさい。それに…ナースが話してたことで先生にも迷惑かけちゃったから…」


「美空ちゃん…」


囁きに近い声で星野先生は名前を読んだ。相変わらずうつむき加減だった。


ダメ！最後ぐらい笑わなきゃ！私が暗くてどうするの！！私は平気！そう伝えなきゃ先生はズット俯いてるかもしれない。