祥子は、喫茶店を飛び出した。

そして自宅に向かって、とぼとぼと歩きだす。

「失敗したかな…。」

自宅に戻る途中、呟いた。


あれは、ああいう事だって確信があったのに…。
絶対にペルも私と同じ気持ちだと、思っていたのに…。


「フラれたって事なのかな。」

祥子は空を見上げ、目を閉じた。
冷たい北風が骨身にしみる。

上を向いていないと、涙がこぼれてしまいそうだった。


ただフラれたんじゃない。


祥子の脳裡によぎるのは、あの悲しげなペルの顔だった。

2回目に会ったときに見た、あの表情に似ていた。
祥子は、自分の告白が彼にあんな顔をさせてしまうなんて。それが一番、悲しかった。