空は快晴、風も暖かくちらほらと桜の花びらが散っている。

季節は春。

そして今日は待ちに待った高校の入学式である。

「一華、いくよ」

「あっ、紫織! 待ってってば!」

あたしは靴を履きながら親友の西岡 紫織を追いかける。

おっと、あたしは鈴山 一華。

今日から晴れて高校生になる。

「そういえば一華。弟、置いてきて良かったの?」

「大丈夫、大丈夫。どうせそのうち……」

なんて言ってると後ろからこちらに向かって二人の男子が走ってくる。

「一華〜。なんで置いて行くのさ〜」

ぜえぜえ言いながら追いついて来たのは玲音。

同じく今日から高校生であり、あたしの双子の弟だ。

といっても、名前、様相、性格の全てがまったく似ておらず双子には到底見えない。

「お前もいきなり走るんじゃねーよ!」

玲音の後ろから彼の頭を叩いた小さめの男子。

彼は杉谷 唯斗。

「高校生になっても野生動物のままだな」

「そっちは高校生になってもちんまりとしているようで」

あたしと唯斗の間に火花が散る。

玲音の親友らしいが、あたしとは犬猿の仲だ。

「行こう、紫織!」

「行くぞ、玲音!」

あたしは紫織を引っ張って早足で学校へとむかった。

高校まで唯斗と一緒だなんて本当についてない。

校門前につくと何人かの先輩が立っていた。

腕には生徒会と書かれた腕章をはめている。

あたしはその中の一人に駆け寄る。

「夕夜先輩! お久しぶりです!」

「あぁ、一華ちゃん。合格おめでとう。そして鳳学園へようこそ」

笑顔で答えてくれたのは夕夜先輩。

紫織のお兄さんで、この鳳学園の生徒会長。

そして、あたしの思い人である。

「おはよう、兄さん。一華と話してるのもいいけど生徒会の人が呼んでるよ」

「あ、本当だ。それじゃあまたね」

夕夜先輩は笑顔で去って行った。

その笑顔にあたしの心は跳ねる。

今年一年は最高な一年になりそうだなぁ。

浮かれながらクラス分けを確認すると。

「「はああぁぁぁ⁈」」

思わず声をあげてしまった。

隣を見ると唯斗が同じように声をあげていた。

「なんで紫織と離れて、あんたと同じクラスなのよ!」

「知るか! そんなもん俺が聞きてーよ!」

前言撤回。

最悪な一年になりそうだ。