「私ね、瑞華ちゃんだけだったの」
「え…?」
「家柄も関係なく、私に接してくれた人」
どういう意味かが、さっぱり理解できなかった。
「私の家のこと、何も話してなかったよね。私のお父さん、外資系の会社の重役してて、少し富裕層に入ってるの」
やっぱり。
絶対に良いところのお嬢様か何かだろうとは思っていたけれど。
まさかそんなにだったとは。
外資系ってすごい。
生粋のお嬢様、とはいかなくとも、いいところのお嬢さん。
みんなの感は当たっている。
「驚いたでしょう?」
苦笑いして、私にそう言う彼女。
「…そりゃあ、驚かない人はいないよ」
「そうだよね、黙っててごめんね」
今まで内緒にしていた理由がやっぱりわからない。
それに、加地くんのことが好きなんだろうと誤解されるようなそぶりをしなければいけなかった理由も見つからない。
どうして、梓紗はそんなことをしなければならなかったのか。
…私にはわからなかった。