部活が終わり、大体の部員が帰る。

『お疲れ様です』という声がコート内に響く。



何も用事がなければ、私と梓紗は部室に入り、部活日誌を共に書く。



『こんなことあったよね』とか、『変わったことないし、こんな感じでいいでしょ』とか。
そんな風に言いながら書いてて。

気が楽だったはずなのに、なぜか私は気が重くて仕方ない。





「今日、どうかしたの?瑞華ちゃん」





梓紗がそう私に声をかける。




「…っ、どうして?」

「もう。私が気付かないと思う?瑞華ちゃんのことならわかっちゃうよ、なんでも」




部誌を書きながら笑いをこぼしている彼女。

梓紗は見ていないようで周りのことをよく見てる。
部活の時にしてもそう。

私の指示が行き届かないとき、私が指示を出せていない時には、梓紗が『周り見て動いてー』とか、『○年生○○するよー!』と声をかけてくれて。

本当に梓紗はサポート上手だと思う。




「何か私に、話したいことあるんじゃない?」

「…ほんと、梓紗には敵わない」

「瑞華ちゃんが私に勝とうなんて百万年早いよ」

「そんなにっ!?」

「ふふ、冗談。私の方が敵わないよ、瑞華ちゃんには」




笑ってた表情が、下を向いてるからわからないけれど、どこか、悲しげな表情に変わったように思えた。

…梓紗?