「遅れてごめん!」

「あ、瑞華ちゃん!先輩方来られてるよ!」

「あっ、先輩!お久しぶりです!」

「杉原さんも頑張ってるみたいね!」




あんな話をしていたあとなのに、先輩たちは私に笑顔で話しかける。




「はい、まだ先輩方には遠く及びませんけど…」

「もう!そんなことないでしょ?私と瑞華ちゃんは先輩以上だもんね!」

「言ったなー!梓紗ちゃん!」

「ふふ!いつか越えて見せますから!」




先輩方にこんなに接してもらえる彼女が羨ましくて仕方なかった。

彼女がいなければ私がその立場に立てたかもしれないのにと思ったこともあった。


けれど、きっと無理だ。
彼女だからこそ、この立場に入れたのだ。
そう思う。




「部長、終わりました!」

「あ、じゃあ、次は2年ね」

「ううん。2年は終わってるよ、だから外周かな」

「そっか、じゃあ外周!」

「1年生は3周、2年は4周ね!」

「ちょっと梓紗―!」




笑えるこの時が好き。
梓紗が好き。


でも、私は。



―――この好きが、変わりそうな気がして、怖い。