「だから、どんななのかなあって気になってたの」

「ごめんね、私もまだ梓紗の家は行ったことないの」




よくよく考えてみたら、梓紗の家行ったことないな。


私の家に来ることはあっても、私が梓紗の家に行くことはない。
少し学校から距離があるということは聞いたことがある。

それに部活があるし、まるまるオフなんてことはあまりないからなかなか遊ぶこともないし。




「そうなんだあ…残念」




本当に残念そうにしている彼女たちに、少し笑みが零【こぼ】れる。




「でも、梓紗と同じ人が好きになった暁には、本当に大変だろうね」




そんな話をする彼女たち。

手を動かさずに、箒【ほうき】とモップをただ持ち、ペラペラと話す彼女たちを放って置き、私は早く部活にも行きたいし、せっせと掃除していた。
そんな時に、そんな話題。


少しだけ、ドキっとした。



けれど、気になった。

―――彼女たちはどう言うのか。