授業に全然と言っていいほど集中できなかった私は、ただぼーっと過ごして、もう放課後。
今週、私は掃除当番。

掃除当番と言っても世間話の時間と化する。





「杉原さん。梓紗の家ってどんな感じなの?」





今日は、梓紗のことについてらしい。

梓紗は、先週掃除当番だったため、先に部活に行っている。





「え?」





まさか、こんなことを聞かれるとは。




「どういうこと?」

「いやいや。変な意味じゃないんだよ?梓紗って、お嬢様って感じするからさ」

「確かに!言葉遣いが汚くないもんね!」

「どこか、品があるよね…」




言われてみたらそうだ。

彼女の言葉遣い、振る舞いは一般の女子高生みたいなものじゃない。
どこか清楚な雰囲気を醸【かも】し出している。

けれど、思うことや感じることは同じだから、そこまで気が付かなかった。