『尊敬』と言う言葉は、何より嬉しかった。

子供としてではなく、対等にみてもらえた気がするから。


嬉しくて、ドキドキして、狭い部屋の中では、この空気だけで全て伝わってしまいそうで、恥ずかしかった。


「なぁ、田崎。」

突然、先生が口を開いた。
「はっ、はいっ?」

声が上擦った。


「3組の橋本の勉強みてるんだってな…。」


「あ、はい。みてるというか、一緒に勉強してます。」

背中合わせのまま、会話する。

「お前は推薦があるからいいだろうが、あまり無理をするなよ。」


背中から、先生の熱と低い声の振動が伝わってくる気がした。


「はい。」


温かくて、落ち着く。