泣き顔をさらすのが嫌で、うつ向いた。


足はしっかり閉じて。



「…アキさん、なんで、こんなとこに…授業サボりかよっ!」



ヤツは頭を撫でたまま、横に座る。


「ん~、授業より面白そうだったからねぇ。」

他人の失恋を…。

「…悪趣味。」



この軽口が、心地よかった。


胸をあがって、出てこようとする何かの代わりか、
言い訳をする子供のように言葉が流れ出す。



「…壊したのは、私なんだ…。」


「ん。」


「全部言ったよ。」


「ん。」


「ホントはね、柄にもないことやるの…、きつかったんだ…。」



「ん。もういいよ。

自分を見失ったらダメだよ。」





私の言葉に、ただ頷いていたアキさんが、


口にしたのはそれだけで、


泣きやむまでずっと、頭におかれていた手は、

堪らなく優しくて、



思えば、誰かの横で泣いたのは初めてで…。



あぁ、たぶん、




この日が、




本当の、


『始まり』だったんだ。




【第二章:END】