「なんか…覇気が足りない!いつもなら、腹に蹴り入れるじゃん!!なのに、何もしないなんてっ…。」


私の両肩を抑え、諭すように揺すりながら言う。


これはかなり焦っている。


でも、だからと言ってもうそんな暴力行為やるわけには…!


女の子らしく…しなきゃ…、


「なっ、なんにもないよ!」

持っていたケーキを、貴男の前に突き出した。


「これっ!」


勇気出せっ、私!


「ケーキ!貴男のために作ったからっ…食べて、ください…」


何故か、腕が震えていた。

ケーキ、落としてしまうんじゃないかと思うくらい。

今、きっと私は真っ赤な顔をしているだろう。


「………。」


ん?何も言わない?


意を決して貴男を見上げた。




彼は、明らかに青い顔をしていて、


「千歌…っおまえ熱で頭やられたのか!?」


「はぁっ!??違っ!」


「保健室行くぞ!」


パニック状態の貴男には、静止の声すら届かず、

私を抱き上げ、猛スピードで、保健室へと走って行った。




廊下に、あの異様にでかい箱を残して。