落ち込んでる場合じゃない!


そうだっ、お菓子!お菓子でも作ってみよう!!


「へ?ケーキ?」


日和は、目を見開いて繰り返した。


…そんなに、驚くことか!?


「うん、まぁ手伝うよ。…千歌にひとりでやらせたら貴男君の命が…」


「ん!?何って?」


「いや、千歌なんか女の子っぽいね!」


ニコッと笑った日和につられて、パッと明るく笑う。

「マジ!?がっ、頑張るよ!じゃっ、後で!!」



千歌を見送りながら、日和は溜め息をついた。


「…大丈夫かな。」


「心配ですか?日和ちゃん。」


「わっ!」


気配なく隣に立つ亜季人に、本気で驚いた日和は、少しして胸をなでおろした。


「亜季人くんか…。ねぇ、亜季人くん、千歌頑張ってるね。」



「うん。結構無理してるね~。」


「無理に変わらなくてもいいのに…。」

日和は、どこか不安げにそう呟いた。

「うん。」


「千歌、いつ気付くかな…」


「ん?」



めずらしく顔色を変えた亜季人を見て、日和はクスッと笑った。


「…内緒だよ。フフ」









放課後、キッチンをめちゃくちゃにして、千歌は母に鉄拳をくらう。