彼女は不安げに、一枚だけ見せてくれた。


風のような緑色の中に

たった一輪、白い花。


あたたかいね

そう感想を言うと、千歌はやわらかく笑った。


その時、知った。

この子の臆病な内面と、

それを守ろうとする

『強い女』の外見。







しゃがみこんで、うなだれている千歌。

「可愛いくとかさ、今更性格直すとかムリじゃん…、どうすれば女として扱われるかな?」


うじうじとする、そんな姿は好きじゃない。

「千歌ちゃん」


俺は思うんだ。


「性格直すってさ、どの基準で考えてんの?」


まっすぐ、俺を見る千歌。

「今まで、生きてきたその性格が千歌ちゃんだろう?無理に変わろうとするのは間違ってる。」


結局それは、自分に嘘をつくこと。


「急がなくていいから、自然な自分を理解してくれる相手を見つけな。」


自分を理解してくれる相手なら、きっと素直になれるから。