椿山亜季人の苦難日記

そのとき、千歌を掴んでいた手に、ひんやりとした手が重なるのを感じた。

振り返ると、千歌は困惑したような表情をしていた。

まずいな…。

「…千歌ちゃん」

説明しようと声をかけると、掴んでいた手が振りほどかれて、千歌は自習室を出て行った。


「千歌!!」

亮介が追いかけようとしたのを、俺は止めた。

「アキさん、いいの!?アイツ、今、何するか分かんないよ!?それこそ、校長室にでも殴りこみそうな…。」


「それもいいかもなぁ…。」


「いや、全然よくねぇって!!」


「いいから。」