人混みが、煩わしい。走りなれない足は、うまく気持ちについて動いてはくれない。 『12時20分発…』 あと10分…、もう、このホームにいるはず…。 「先生っ…」 このまま… このまま別れるなんて… いっぱい、言いたいこと、あるんだから… 「先生…」 ホームに佇むたくさんの人々の中、頭一つ大きな 愛しい彼の姿―…。