ー帰り道ー
学生証の配布も終わって、あとは定期を買って帰るだけ。
もちろん友達はできてないです。
人見知りの辛いところだ。
「あれ、さっきの…」
背後から声は聞こえた。
『はい?』
背後から聞こえて来た声の主はさっきの先輩2人組。
『あ、さっきはどうも…』
「いやー、ここで会ったのも何かの縁だしぜひうちの部活に入れ」
『遠慮します』
「なんで?さっき自分と同じ学科の女の子はうちの部活入ったぞ?」
女の子!?
しかも同じ学科!?
これは仲良くなるチャンス来たんじゃ…。
『どんな子ですか?』
「八重歯が可愛い女の子やった」
八重歯…、そこまで見れてないけど多分あのギャルではないよね?
いやまず、あのギャルだったら部活に入ったりしないだろうから違う子か。
「で、お前はどーする?」
『籍置きだけでもいいんですよね?』
「もちろん」
『じゃあ入ります』
女の子を友達にするために、上條優はよくわからない部活に入ったのです。
その名も筋トレ部。
絶対に、絶対に活動に参加することはないであろう…。
「じゃあLINEのID教えろ」
高身長の先輩に命令口調で言われて逆らえず渋々iPhoneを取り出す。
「まあ歓迎会とかもあるからまた連絡する」
『わかりました』
「じゃあら俺らまだ勧誘しないとあかんからいくわ」
先輩2人は学校の方に向かって去って行った。
定期を買えたあたしは電車に乗りながら明日からの予定を考えていた。
明日は朝から実力テストと健康調査…。
朝はやめに行って、先輩が言ってた八重歯の女の子でも拝見しよう。
目指せ、友達一号!
