Petit☆bonheur


長ったるい式も終わり、残るは学生証の配布だけ。


現在時刻12時半。


これなら13時には終わりそう。



「えー、このあと学生証の配布ですが、配布は14時からとします」


……………は?
ちょっと待ってよ14時ってまだまだじゃん。
しかも友達いないのにどーやって時間潰せって言うのさ!

考えてるうちにどんどん学生が出て行くのでとりあえずその流れに乗って外に出た。


『どうしようどうしようどうしよう…』


さっき喋った子達を探そうにもこんなに人数いるんじゃ絶対探すのは無理だし、だいたいの子って保護者と一緒に来てるし…。

完全なるぼっち。


とりあえず食堂のほうに歩きながら喋れそうな子を探す。


すると入学式の代表の挨拶をしていた同じ学科の女の子を発見した。


『よし…』

話しかけようとその子の元に早歩きで近付いた瞬間、どこからかその子のお母さんが近寄ってきた。


「お疲れ様!ご飯外に食べに行く?」

「ありがとう。配布あるからそんなに遠くには出れないね」

ああ、外に食べに行く感じか…。
さすがにそれは邪魔しちゃ悪いな。



その場を移動して違う子を探した。

次に見つけたのがさっき隣に座ってた大人しそうな子。
見たところ一人っぽいし、同じ学科だし仲良くなっといたほうがいいよね…?


恐る恐る近付きながら声をかける。

『あのー、N学科の子だよね?』

「そうですけど」

『良かったらお昼ご飯一緒に食べませんか?』

まさに効果音だったらニコーっていうのがピッタリな笑顔で彼女に問いかけた。

「あ、母と食べるんでいいです」

『あ…、そっか。じゃあまたあとで!』

見事に降られた…。
そこはお母さんもいるけど一緒に食べますか?的な気遣いはないんかい!


辺りを見回しても、もうみんな食べ始めていて入れそうなところがない。


ご飯を食べようという気力もなくなってしまったあたしはとりあえず食堂前のベンチに座った。


友達どころか大学生活不安でしかない…。
友達できなかったら大学しんどいってよく聞く。


『はああ…』

「でっかいため息だなー(笑」

『えっ』

上の方から声がしたと思って顔をあげるとそこにはがたいの良い高身長の人と少し小さめの明るい茶髪の2人組がいた。

「俺ら今部員募集してるんだけど、良かったらどう?」

『あー、部活入るつもりないんです』

「いや、そこをなんとか!」

しつこいな…。

『また今度時間あったら見学行きますね!』

先輩の勧誘を断って学生証配布までの時間、近くの店で時間を潰すことにした