Petit☆bonheur


窓の外を見れば満開の桜。

最近まで着ていた高校の制服を見ながら着慣れないスーツに袖を通す。

『メイク習っとけば良かったな…』

メイクの仕方なんて、女子高に通ってたあたしに分かるわけもなく…、とりあえずマスカラとチークを塗って完成。

「もう出るの?」

『うん、迷ったりして遅刻だけは避けたいから』

「それもそうね、いってらっしゃい」

親に見送られて家を出た。




今日は大学の入学式。
男子と女子の比率は8.5:1.5くらいの大学。
高校は女子10割だったから、男子ばかりの大学に通うのは相当なプレッシャーだった。

ただでさえ人見知りなのに友達なんて出来るのか…。



『これくださーい』

「あら、ゆうちゃん今日はスーツなのね」

『実は今日入学式なんですよー』


駅に向かう途中にあるコンビニで飲み物とオニギリを買った。
このお店は小さい頃からお世話になってる夫妻が経営してる。

「おめでたねー!じゃあ入学祝いにこのオニギリとジュース持っていって!」

『いや、そんな悪いです!』

「いいのいいの!安物でごめんなさいね。入学おめでとう」

優しい笑顔で渡された袋にはジュースとオニギリが入っていた。

『ありがとうございます』