「そいえばさー、」 手のひらで風をおくりながら 菜々は言う 「んー?」 「汐音さ、 星くんのこと気になってるとか言ってたよね?」 “星くん” その言葉に反応して、心臓が大きく跳ねたのを感じた。 4月からうちの学校に転入してきた 背の高い男の子。 クラスに見に行けば、たくさんの人がいて 「かっこいい」なんて言う人がいれば「なんだ」なんてがっかりしてる人もいた。 教室をのぞく。 見慣れない人が座っていた。 窓際の、いちばんうしろ きれいな黒髪を風に任せて 静かに座っていた。 *.