今までにも何度も私の家に来たことがある優子。まっすぐ私の部屋に入り、その壁にかけてある浴衣を見つめる。

「すっごーい。可愛いじゃん。」

「...うん。まぁ。」

あまりこの浴衣を着るのに乗り気じゃない私は苦笑いを浮かべた。

「はぁ。明さ、こんな可愛い浴衣、可愛くない自分が着ても似合わないって思ってない?」

まただ。優子の真剣な目。私は人の真剣な目に弱いらしい。

優子にも谷崎にも真剣な目をされると、心を見透かされそうで怖い。

実際、今だって、優子に私の心をぴたりと言い当てられて、何も言えないでいる。私は、ただ俯いた。

「明、明は可愛いよ?」

「そんなことないよ、優子の方が...」
「明は自分のこと、全然わかってないよ。」


「ちゃんとわかってる...」
「明は、もっと自信持っていんだよ?」