溺愛レッテル

足音がだんだんと近付き、止まる。

「入るよ、有理」

カーテンの音と微かな空気の流れが、春彦の位置を感じさせた。

視覚的な情報が遮られているので、音でしかものを判断できない。
私、どうして寝たふりなんてしているんだろう。


私が寝ていることに気づいた春彦は、そのまましばらく黙っていた。