「…」

嶺は無言のまま、鋭いその目で春彦を睨んだ。

きれいな漆黒の瞳に、横顔が映される。
春彦の表情もまた、真剣そのものだった。

「奪われないように頑張ってな。カレシさん」

なだめるように肩を2、3回たたいて、春彦は嶺から離れていった。