遠い君へ。

・・・予想外…。
「ちょっと待って…？あずき」
【咲】
「かっこよくない？」
【かっこいい】
私服姿を初めて見た。
「どっちが？」
【そりゃ決まってるでしょ。咲と同じ】
「やっぱり！？」
あずきと男子の私服の好みまで似てるとか運命的～♪
さすが長年の友～♪
弾んだ気持ちで、二人に近づく。
永人くんって本当にかっこいい。
スタイルがいいから？顔がいいから？
でも…性格がな。
ていうか…来たんだ…。女子と遊ぶの好きなのかな。
どうでもいいけど、目合ったら何も話したくなくなった。
「イライラしてきたわー…。あたしが悪いわけ？」
【いいから行くよ！】
照くんは笑顔で手を振っている横で、ぼーっとどこかを見ながらたそがれている永人くん。
【おはよう！あずきちゃん。
咲ちゃんも久しぶり！】
「久しぶり～！」
照くん爽やか～…。別れた理由聞きたくなったよ。
【照くんってこういう服着るんだ！見た瞬間めっちゃ似合う～！って思った！！】
【マジで！？お～。ありがと～！】
・・・あずき。照くんだったんだ(笑)
あたしと違うじゃんか！(笑)
【永人くん。おはよ！】
あずきが挨拶をすると、すっごい低いテンションで【はよ】の一言。
おいおい。なんなんだ？
あたしが来たことが気に食わないのかも。
【とりあえず中に入ってみんな来るの待と！】
あずきと照くんは足早に歩き出した。
こう見ると、お似合いかもな～って感じる。
身長差もキャラも性格も。いいじゃん！！
と、考えていると横からため息が聞こえた。
「(あたしに“おはよう”ぐらいないのかよ
お前のその態度であたしの心が荒れるんだよ！)」
【どうしたの】
「・・・え？」
永人くんはこっちを見た。
【照？】
「はい？」
照？なにが？
「大丈夫？あたしだよ？照くんは前にいるんだけど…」
【照のために気合い入れてきた？】
「・・・あ、そういうこと。なんで照くんのためなの。
あずきにも言ったけど違うんだってば！何でそう思うかなー」
【似合ってると思う】
「・・・」
似合ってる？似合ってるって言った？
永人くん。今、あたしに・・・。
【地味さのかけらもないわ～。残念】
「！？」
・・・地味さのかけらもない。残念。
似合ってる＝残念
永人くんて、ツンデレ？どエス？

とにかく、永人くんが地味女ってあたしに言ってから、おしゃれを意識するようになった。
その永人くんから似合うなんて言われたら・・・合格ってことじゃん！
あたしもう地味じゃないんだよ！

人から似合うって言われることがこんなに嬉しいことなんだ。