遠い君へ。

「お母さん!どう??」
映画当日、あたしは5時に起きて準備を始めた。
オシャレなあたしになるために時間をかけて用意!
【いいね~可愛い!】
「お母さんのおかげだよー!ありがとう!!」
昨日、お母さんと服やメイク道具を買いに行った。
自分のお金を使おうと思ったら、全部買ってくれた。
「よし!食べ終わったらこれに着替えて、お化粧をして完成!」
【彩子ちゃんにも今度付き合ってもらいな。
モデルさんなら選んでもらうといいよ!お母さんはいまいち分からないから】
「そうだね!彩子に色々教えてもらいたい!!」
食いしん坊のあたしは朝からガッツリメニュー。
今日はラーメンと野菜スティック。
朝は、あたしだけいつも違うメニュー。
「いつもありがとうね!あたしだけ別メニューで面倒くさいでしょ?」
【本当面倒くさい~!】
「だって学校でお腹空くと授業集中できないんだもーん」
【これ以上点数下がらないように、授業集中できるように、お母さん頑張って毎日作ってんのに一向に上がらないってどういうこと~?】
「美味しい美味しい…」
話を逸らしながら、朝ごはんを味わった。
あたしの大好きな食べ物は、
ラーメン・辛いもの・肉・チーズケーキ・納豆・里芋・アイス・クッキー
梨・トマト・お刺身・ハンバーグ・クレープ・かぼちゃ・おでん・パン
ってとこかな。
まだ足りない気がするけど、今思いつくものはこれくらい!

「行ってきまーす!」
張り切って外に出た。
歩いてすぐあずきの家に着くと、携帯が鳴った。
画面を見ると、非通知・・・。
知らないおじさんとかだったら怖いから…出ない!!
止まらないバイブ・・・。
「無視!」
【おっは~!】
あずきが勢いよく玄関から出てきた。
「おっはー!」
【え!?・・・】
あずきはあたしのことをじろじろ見始めた。
【え、え、え、え、えぇ!?!?】
「な、なに…?そんなに変かな…?」
【いや…可愛いよ…!!可愛い可愛い!!】
「ほんと!?本当に!?可愛い!?」
あずきは興奮状態で、鼻息が荒くなっている。
【しかも化粧うまいじゃん!練習したの?】
「うん。昨日2時間ぐらい練習した!」
【すご…。てか服可愛いんだけど!】
「お母さんが選んでくれた!!今日ね、5時に起きたんだ!」
【は?あ、朝風呂?】
「ううん。おしゃれするために!」
【・・・照くんと会えるのがそんなに嬉しいのね…。
んなら早く言ってよー!!!!二人きりにしたのに!!
待てよ…?今から作戦立てればいい話か…】
「ちょと待てちょと待て」
【照くんと咲を…】
「違うってばー!!ほんとやめて!違う!!」
【違うの?】
あたしは高速で何回も頷くと、信じてくれたみたいで歩き出した。
あずきは基本ノーメイク。
あんまり興味がないらしい。
ただ、髪の毛の手入れはしっかりしているから、黒髪がとってもさらさらで綺麗。
【昨日電話できなくて寂しかった?】
「・・・!?何彼氏みたいなこと言ってんの?」
【いやー、最近毎日してたから寂しかったかなーって思っただけ】
「あー、ありがと。大丈夫だったよ。
でもあたしも昨日忙しかったから、どっちにしろ電話できなかったの」
【そうなんだ】
地下鉄に乗って10分で目的地に着く。
集まるメンバーは、あたしのクラスの女子5人と照くんと永人くんとクラスの男子の誰か。
照くんはクラスが違うけど、永人くんと仲がいいってことで誘ったらしい。
「あずきー。起きてー。次だよー」
【もう着くのー】
「うん。寝不足なの?」
【なんか夜眠れなくて】
「えっ!?そうなの!?何で言ってくれなかったの??」
【どうして言わなきゃいけないの?】
「心配だもん!」
あずきに熱く語りながら地下鉄を下りると、照くんと永人くんがいた。