そして僕は恋を知る



駅で。

電車で。

会話のほとんど、あの子のことだね?

「ほんとは別れたくなかった」

その言葉があたしを締め付ける。

やっぱり君は、まだあの子なんだね?

まだあの子が全てなんだね?

あたしなんかこれっぽっちも見えてない。

全てはあの子。

君の想いは。

心は。

全てあの子のもの。

君の想いに、あたしが入る隙なんてない。

もう忘れてよ。

あの子のことなんか。

あの子はきっともう君を好きじゃないよ。

あたしの方が絶対君のこと好きだよ。

あたしのこと見てよ。

あたしの気持ちに気づいてよ。

あたし、ほんとに嫌な奴だ。

君の気持ち分かってるのに。

引き離したくてしょうがないの。

君の想い、痛いほど伝わってくる。

君の想いに触れれば触れるほど、あたし嫌な奴になる。

今そばにいるのはあたしなのに。

君はやっぱりあの子のことばかりなんだね?


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