私は1度だって空に子供が欲しいなんて言った事はないのに。 空は気付いていたんだ、私の気持ちに。 『…空が謝る事じゃないよ。それでも私は空と一緒に居たいんだから。』 空にこんな事を言わせてしまった自分が嫌になる。 それからしばらく平穏な日々を過ごしていて、季節は夏を迎えた。 その日はたまたまパン屋のパートが休みだった。 こっちに来て契約した携帯電話は数人しか知らない。 だから滅多になる事はないのに、その携帯電話が鳴った。