優香の席から斜め右前の席にずいぶんと女子が群がっている席があった。

そこには吉岡昇(よしおかのぼる)が黙って読書していた。

周りで群がっている女子に気にもかけず、涼しげな顔立ちで読書するその顔は、ひとことでいうと美少年。

優香はすぐさま頭の中の情報をかき回しながら吉岡昇について思い出していた。

「たしか...将軍家の子孫だったはず...。」

将軍家の子孫だけあって、莫大な財産と貴重な物がたくさん埋まっている蔵を所持している、超貴重な家系なのだ。

優香には結婚まではいかないが、その莫大な財産のほんの一部を頂いちゃおうという願望がキラキラと頭の中で輝いていた...。