「ねぇ、これだったらきかせても大丈夫じゃない⁇」
「そ、そうかなぁ。大丈夫かなぁ」2人に言われると嬉しくなってしまう。
「平気よ!ホラ、いって来な⁉」
「ん、いってきます!」勇気がなくならないうちに…頑張って演奏しよう。緊張しながらだけど、私は歩き出した。深呼吸、深呼吸。胸のほうに手をそっとおいてゆっくり呼吸をした。ん、大丈夫。板倉第一高等学校の演奏を思い出しながら吹くんだ。
「失礼します。」職員室に入り、この前の先生を探した。
「部活をつくりたいのですが、それに関わっている先生はいらっしゃるでしょうか?」
「あー、また君ね。どうしたの⁇つぎは違う部活がつくりたくなったぁ?」ムカつく、私が今まで頑張ってきたことを見せてやる。
「吹奏楽部をつくりたくて来ました。前に先生は上手いなら見せてもらいたいもんだっておっしゃいましたよね?そのとき、私は自分の演奏に自信がなくて、やっぱりやめようって思いました。だけど板倉第一高等学校の演奏をきいて気づいたんです。私は吹奏楽がしたいって。」
「はい、ハイ。キレイゴトやめよっ。もうその話終わり!」
「いえ、まだ話は終わってません。先生が見せてもらいたいって言ったので、今からお見せします。これだけは約束して下さい。最後まで私の演奏をきいて下さい。お願いします。」返事を聞かないで、私は演奏を始めた。曲はいきも○がかりのありがとうだ。この曲は中学3年の引退する前に吹奏楽部のメンバー全員で演奏した。だから、自信はある!

演奏が終わり、先生のほうを見た。先生はよくわからない顔をしているため、私には何が言いたいか分からなかった。
「わざわざお時間をいただきありがとうございました。失礼します」先生は何にも言わなかったのだ。私は出来ることをやった。私の顔は泣いていない。
「ちょっと待ちなさい。」先生は私に待ってと声をかけて職員室に何かを取りに行った。
「はい。これをみたらだいたい分かるだろう。まぁ、最低でもあと一人連れてこい!そしたら吹奏楽部を作ろう。」そう言った先生の顔はいつもと全然違う表情に見えた。
「はい。ありがとうございました。」自分に出来ることをやったら結果は出るんだ。それは…取り柄がなくたって、特技がなくたって、1番じゃなくたって同じだ。気づけてよかった。
「ただいま〜‼」
「その顔は…OK⁇」
「イエッサー!」
「イエーイ!よかったねぇ‼明日から動けるね。」
「うん。まだまだ一人しかいないけど、最低5人集める!」
「あっ、その話なんだけど…私とレイナちゃん、吹奏楽やっていい?」…話が全く見えないんですが…レイナちゃん、写真部すごくやりたくなってたよね?ちーちゃん、チア部どこいった?
「それはもう大歓迎だし、私としては良いんだけど…2人は⁇なんか無理矢理やらせたみたいだし…」
「全然‼なんか今日アミちゃんが演奏している間に、チア部見に行ったんだけど…なんかみんな感じ悪くて、やだなぁって!私、人を応援したいからチアやってるんだけど、あんな感じ悪かったら応援なんか出来ないなって!」
「あ、私も!アミちゃんの演奏聞いたら、写真部のことなんて忘れてて!私も演奏がしたいって思ったんだ‼」…私の演奏をきいて、そこまで思ってくれる人がいるんだ。そして、自分にも人を応援することが出来るんだ。う、嬉しい。
「ありがとう。じゃあ、今から先生のところに一緒に行ってもらっていい?」その後、先生の了解をもらって、明日から本格的に動くことになった。


「おっはよ〜‼」ちーちゃんかなぁと思ったがなんとレイナちゃんでビックリした。夜より朝のほうが元気が良い人なのかなぁ。
「おはようー!元気だねぇ、レイナちゃん。」
「だって、今日から部活じゃん!嬉しいよぅ!」吹奏楽部は0より下のスタートなので他の部活に負けないように今日から活動を始めることになった。
「あはは、そうだね。今日はいちよう全部の楽器触ってみよっ!先生が昨日オーケストラ部の顧問に了解をもらってくれたって!」
「うんっ!頑張ろうね。」
「おはようー!」
「あー、起きて来たぁ。そろそろ食堂行かないと!やばいよ〜」
そして今日がスタートし、授業はどんどん進んで放課後になった。

「イエーイ!部活だよっ!部活‼」
「音楽室に来いって行ってたけど…」
「ってかあの人なんの教科の先生⁇」
「さぁ?」
「ココが音楽室だって!入ろっ」
「うん。」
「失礼します」
「おー、来たかっ!青谷アミ。
青谷、この前は悪かった。いや、悪かった。」先生は言い方を変えて謝った。私が「?」みたいな顔をすると、
「ホラ、地図のとき!道案内が…」
「あー、あのときか!いいえ。ありがとうございました!」
「ははっ!あ、自己紹介がまだだったね。松下翔だ。教科は音楽、趣味か。うーむ、まぁ音楽鑑賞かな?」私たちは教科の部分を聞いて呆然としてしまった。音楽かぁ〜。
「音楽…デスか?」
「え?君たち知らなかったの?あ、音楽やってないのか。」
「はい。先生、としは⁈ナンサイ
?」
「は?歳か。うーむ。正直に言うことにするか!34だ。生徒には50って言われてるけど…さ、話を進めよう‼」顔が変わって先生が楽器のことについて話し始めた。
「楽器はなぁ。今はオーケストラ部の先生に聞いたのがトランペット、トロンボーン、クラリネット、フルート、ホルン、オーボエ、コントラバス、ファゴット、打楽器少しかな⁉」あれ…⁇サックスないの?