「は、話って何…?」私、ちーちゃんとマジメに2人でしゃべるの初めてだ。
「うん…私、アミちゃんに謝らなきゃいけない。」は?ちーちゃん私になんかしたっけ?
「よく、わかんないけど聞くよ?」
「うん…私ね、アミちゃんが知らないところでヤナコト言ったり思ったりしてたの。アミちゃんはいっつも自信のナイコト言ってたじゃん?あんなの、自信がある人が言うことだってずっとそう決めつけてて、きっとアミちゃんもそうだって…思ってたの。実際、アミちゃんは自信ないって言いながらもちゃんと出来てたじゃない?私、いっつも自信たっぷりっていう表情してるじゃん?あれ、全部ウソ!ホントはものすごく不器用で…何の努力もしてないの。ただ、ぶっているだけ。アミちゃんは努力してるのに私はそういうアミちゃんにヤキモチやいてた。…アミちゃん、ゴメンね。こんな謝りじゃ許してもらえないかもしれないけど、私は今までのアミちゃんのつながりを全部消して新しく友達としての関係をつくりたい!」ちーちゃんそういう風に思ってたんだなぁ。私のことをそういう風に思ってくれてたんだなぁ。すべて消して新しく友達としての関係を…
「ちーちゃんがいったことすべて正反対だよ。新しい関係…それって、友達じゃなくてライバルでしょ?」
「ライバル…ちがうよっ!私はライバルの資格ない。音楽経験者じゃないもん」
「資格ちゃんとあるよ!音楽経験者じゃなくたって、同じ人間だし全然違うことなんてない。あと…一つ言っとくけど…こんなこと言いたくないけど…私が落ちることだってあるんだよ?」
「うん…アリガトウ。じゃ、これからは…ライバルで!目標は…」
「ソラへはばたいて行くような音を出すこと。」
「はばたいて行くような…うん、それにしよう。」
「じゃ、2人で練習だぁっ!」はばたいて行くような音を出すこと、今日からはそれが目標〓ライバル…負けないようにガンバンなきゃ!ちーちゃんの後を追いかけていった。
「トロンボーン、どこまでならせるようになった?」
「あ、まだマウスピースで!」確か、金管楽器って音ごとに口変えなきゃいけないんだよね?クラはどうなんだろう?
「えー、吹いて見て?」
「トゥー」
「こうかな?」
「ちゃんとできてんじゃん!私なんかね…最初マウスピースも吹けなくて、ちょっと向いてないかもね~って優しげに言われたんだよ。」そう、そう。思い出した。サックス、アレだけはどんなに頑張っても1番になれなかった。そう思うと、クラはサックスより合っているのかもしれないな。
「あー、やっぱり先輩にそう言われるの辛いよね。体力だったら私も誰よりも負けないんだけどなぁ。アハッ」アハッと明るく笑うちーちゃんが私は1番好きだ!と思った。元気なちーちゃんはかっこいい、いっつもそう思う。ちーちゃんだってチアをこれまで一生懸命やってきたのだろう。どんなに辛くても、どんなに結果が出なくても泣きながら毎日、毎日とがんばってきたのだ。「私だけじゃない。」今までずっと違うと言ってきたことだが、今では納得出来る気がする。窓の方を見れば、働いている人がいっぱいいる。世界中の人々全員が働いている訳じゃないけど、働いていない人だってみんな毎日何かのミッションを抱えててみんな毎日大変だ。ヒトという生き物に生まれてきたカギリ、そのヒトは必ず何かに頑張るのだ。頑張らないヒトはいない。
「今度体力づくりしたいよね。」
「うん。」そんなくだらない話はレイナちゃんが泣きながら出て来ないカギリ続いたことだろう。
「どうした?レイナちゃん?先生にいじめられた?」おい、おい。ちーちゃん、ズバッと言ってますが後ろにいるよー?
「いじめてないわ!勝手に泣いたんだよ」ホラー、カチッとスイッチ入っちゃったじゃん!
「か、かっっかっ勝手に泣いたんだよ。う…」レイナちゃんの顔は涙でおおわれていて、顔が見えないぐらいになっていた。
「勝手にってことはないでしょ?何かしらの理由があるでしょ?」
ちーちゃんが質問ぜめに聞く。
「ゴ、ゴメン…ねっっ!いっ、いまは、1人にさ、させて?」声が泣いているせいで震えている。1人にさせて欲しい気持ちは分からないでもない。今は…1人にさせよう。でも…気になる…勝手にって…もー〓ウザイッ〓そうして私はかけて行った。先生のところまで
「こっちだってねー、大変なのよっ!3週間後にはテストなのよー、こんなに誰かが泣くとか…ほっとけないじゃん!」叫びながら先生がいる音楽室まで!100mもないな。カッコつけて…青春だぁ~。
「失礼しますっ!」
「は?」
「はじゃないです。レイナちゃんが泣いた理由はなんですか?それを知ってるのは先生しかいないです。」ふんっ、ズバッと言ってやった!
「だから…俺が怒ったからだよ!だってアイツ、音楽のなにも知らない。あんなの、音楽未経験者より分かってない。ホルンをあいつは分かってない…確かに基礎は上手い。だから力だけはある。力だけはな。でもあれじゃ意味がない。オレはあいつの演奏がもっと伸びるとは思わない。ムリだ。あんなんじゃ…」はぁ?先生バカ?ってか、音楽バカ?どんだけ音楽愛してるんだよっ!子供かっ!
「レイナちゃんの演奏が伸びるとか、伸びないとかはどうでも良いんです。ハッキリ言って!そんなんですか?先生は!ただ怒って…それじゃ、こっちだってムリなんです。どこをどうやって直せば良いのか…勝手かもしれませんが、私たちは経験があってもまだまだ初心者で、もっと教わらなきゃいけないことがたくさんあるんです。それを知ってるのは先生でしょ?」
「…それはそうかもしれない。俺にもダメなところがたくさんあるんだ。さすがに、俺1人で抱え込むには無理がある。やっぱり、あいつに頼もう。」先生なにいってんの?ま、認めたし…いっか。
「?とりあえず、先生!謝って下さいね?レイナちゃんに?」
「はーい、はい。」テキトーダ!
「じゃ失礼します」ペコっと頭を下げてまた私は教室に戻って行った。
「あ、高碕よんどいて!」もう、7時か。一回部屋戻ろっ!
「はいっ!」