「何の楽器が誰にまわるのか発表する。」えー‼もう⁈絶対私、クラリネットじゃない。上手く吹けなかったし、足手まといになっちゃうもん。じゃあ、楽器…私の楽器って何だろう⁇
「秋川レイナ、ホルン!」
「ハイ!」やっぱりレイナちゃんはホルンだよねー。経験者だし…
「高碕千恵…トロンボーンだな。高碕、お前はどう頑張っても最初は初心者だ。みんな誰だってそうやって来ている。最後はお前次第だ。」
「は…」
「先生〜⁉何キレイゴト言っちゃってるんですかぁ〜⁇」レイナちゃんは何も知らないため、変に思う。
「ハイ、ハイ。すみませんでしたぁー。やっぱり秋川レイナ、楽器なしな。」
「えー‼先生ヒドイ」冗談を冗談で返す。
「ハハハ、で、次は…青谷さんね。青谷は…クラリネットな。」ウーソー‼なれたよ!クラリネットにぃー‼ヤバイ、今日から毎日頑張れるぅ。
「が、頑張れますっ!」
「おい、そこは頑張りますだろ?」
「あ、頑張ります‼」
「お前、ホントにできるか⁈クラリネットは甘くねぇぞ。ナメんなよ。」
「ハイ!頑張ります‼どんなにないたって、どんなに難しくたって、いいんです。私はこのクラリネットという楽器の音をはばたかせます。そのために私はいくらでも自分を泣かせます。」先生の言うとおり、クラリネットを甘く見ちゃいけない。だけど、私はこれからクラリネット命で頑張って行く!
「クラリネットは主旋律だ。頼むな!」
「ハイ」
「じゃ、みんな頑張れよ!あ、後…」
「なんですか?」
「金…金が足りないんだ。」お、お金⁇あ、楽器…
「先生、この楽器っていつまでも借りられる訳じゃないんですか?」確かに…そんなに人って甘くない。楽器をタダで貸してくれるわけない。
「エッ⁇イヤ、それは余ってたからくれるって言ってくれてるんだけど…例えば、青谷さんのクラリネットのリード!それは使い捨てのようなもんだから、どうしても買わなきゃならない。」あ、私のせい…
「すみません。先生」
「イヤ、クラリネットは必要だから。」先生は優しく微笑んでくれた。いっつも、みんなにダメダメって言われて来たからなー。
「後、マウスピースでしょ?楽器でしょ?まぁ、たくさんあるわけなんだけどね。で、本題にはいるけど…」微笑んだ顔から一変として、真剣な顔に変わった。
「みんなに金稼ぎしてもらいたいんだよねぇ。」は⁈先生、何言ってんの⁇
「先生、学校からもらえばいいじゃないですかぁ?」
「学校から借りたってまだ足りない。楽器は数百万するものだってある。学校からだけじゃムリだ。まぁ、とりあえず500万は必ず必要!」ご、五百万〜⁉あり得ない金額だよ〜⁈吹奏楽ってそんなに必要なの?
「先生、今はなん円もらってるんですか?」
「イヤ、それはタブー‼後、せめて一万あったら…」
「それぐらい、先生の力で⁉」
「ムリだ。そんな金ない。」もぅ、どういう生活してるんだよー?
「じゃあどうやって?」
「寄付だ。」き、寄付⁇寄付って…
「は?寄付⁇何にもしないで寄付してくれるわけない。」
「何もしないとは言っていない。6月に定期演奏会がある。今年はオーケストラ部とピアノ部が演奏することになってたが、急遽吹奏楽部も演奏することになった。そこで、君たちの保護者や他のお客様に寄付をしてもらいたい。まぁ、お前らがイイ演奏が出来たら寄付も集まるだろ⁇」6月って後、約2ヶ月。そのために人も集めなきゃだし…時間は1ヶ月しかない。キセキ起きないと成功しない…でも今は…そのキセキを信じるしかない。
「やります!私は‼」私がそう言うと2人は目を合わせて、
「私もやります!」と叫んだ。
「ん、じゃあまずは人集めだ。あとせめて…15人は欲しい。協力してくれ」あと15…やるしかない‼
「ハイ!なるべく音楽経験者に声をかけてみます。今、仮入部期間だし、いけると思います。」
「そうだな。今日は夜まで自分の楽器の練習!じゃ、解散!イヤ…ちょっと待て。6時になったら秋川は音楽室に、7時になったら高碕は音楽室に、8時になったら青谷は音楽室にお願いします。」
「ハイ!」8時って…だいぶあとじゃん。ってか、何しに行くんだって感じ⁇
「えーっと、クラリネットは1の1、ホルンは1の2、トロンボーンは1の3にあるから!そこで各自音出し!」
「はい。」
「今度こそ解散!」1の1行かないと…さっきのクラのままかな⁇
「失礼します」とか言った方がいいのかな?
「えーっと、クラは?…あった!」マウスピースもぅ、ちゃんとついてるしリードもちゃんとついてる⁈このまま吹けばいいんだよね?
「ピー」またもや…さすがに落ち込むなぁー。明日から人集めで忙しいし、今日以外ゆっくり練習出来ないかもしれないんだ。
「ピー」悔しさをクラにぶつけちゃダメだよ、私…
「ピー」ピーってしかならない。音楽初心者でももっと上手いんじゃないかな?コツがつかめれば…もうちょっと上手くなってくれてもいいのになぁ。右の親指疲れて来た。少し休もぅ。
「アミちゃん⁇ちょっといい?」
ちーちゃんに呼ばれて私は音楽室に連れて行かれた。