授業終了のチャイムとともに、拓真くんは呼び出しをされる。


「わぁ、まただね綾川。」


そういいながら、篠塚茉耶(しのづかまや)ちゃんは私の前の席に腰掛ける。


「・・・だね、拓真くんモテモテだし・・・しょうがないよ・・・」


私は軽くはぁ、とため息をつく。


そのあとに茉耶ちゃんはもっと深いため息をついた。


「しょうがない・・・なんて言ってたら取られちゃうよ?」


茉耶ちゃんは少しきつい口調でそう言った。


「・・・でも・・・」


「でもじゃない!」


おどおどしていた私に、茉耶ちゃんはそう言って叱る。


「今隣の席なんだよ?話せるチャンスじゃん!」


「もう隣の席になんかなれないのかもよ?」


立て続けに茉耶ちゃんはそういう。


・・・自分でも分かってる・・・。


このままじゃダメって事くらい・・・。