「・・・大丈夫?」


周りの音は雨の音しか聞き取れなかったのに、


その声がすごく響いて聞こえた。


「スゴイ濡れてるね・・・」


そう言った瞬間、私の頭上を1本の傘がさす。


「・・・・・・・・・」


急に世界が明るくなったように思えた。


オレンジ色の傘・・・。


ただのオレンジ色の傘が、私には太陽に見えた。


「・・・大丈夫です・・・」


私は聞こえない位の音量でそういう。


「大丈夫じゃないでしょ?」


「・・・・・・、」


「そんなところにいたら、風邪引くよ」


そういって私の手を引いた。


「・・・立てる?」


「・・・・1人で立てます・・・」


私はそういって彼の手を離した。