『じゃあ、私はこれで帰ります…』

もう、用件は済んだんだし、いいよね。と、思って空の弁当箱を持って、ドアを開ける。

キイイイイィ…

静かな音が流れる中、木戸は言う。

「田中さん、タメでいいよ?」

『いや、遠慮しときます。』

即答で答えると、ニコッと笑う木戸。

「本人が許可出してるんだから、遠慮しなくていーんだぜ?」

何でそんなタメにこだわるんだろ?

と思っていたら、私の口は、

『はぃ…。』

と、勝手に動いていた。

「あと、いっぱい話しかけて~。俺、寂しいから。」

あんたには、友達沢山いるから、寂しくないじゃん…。

と思ったけど…

何故かうるうるできゅるきゅるな目が面白くて、笑ってしまった。

あれ…。

私、学校で笑ったのいつぶり?

ずっと前だ。

なんか、木戸って…面白いかも。

“もっと話したいな。”
木戸に興味を持ち始めた。

そんな事をおもってる間に、

「やっと笑った~…」

と、木戸が呟いていた事に私は気付かなかった。