気づくと、私はじっと木戸を見つめていた。

その視線に気付いたのが、私の方に、視線を向ける木戸。

慌てて下を向くと、

「陽介~、今日昼の約束パス。」

申し訳そうな顔をして、私じゃない誰かに謝った。

…あ。

私、バカだ。

私の方を向いてるのかと思ってた。

なわけないじゃん…。

こんな私、誰も気づくわけないじゃんかー…

「はぁ!?マジかよ。別にいいけど。で、誰と食べんの?」

隣の席の陽介という人が返事をする。

この人だよ。

木戸が話し掛けたのは。

木戸は、3つ左の席で、かなり遠かったから、私を向いてると思っちゃったよ…。

そんなため息をついてる私の気持ちを知ろうともせずに、木戸は、爆弾発言をする。

「俺、田中と食べるから。」

…は?