キラキラの太陽

この人には逆らえない。もし、逆らったら…、きっと、いじめられるだろう。

怖い。怖い。

でも、ずっと言われっぱなしも嫌だ。

言い返したい…。

心の隅ではそんな思いがある。

でも、無理だ。私にはそんな勇気はないから。

と自分に言って、逃げることをお勧めする。

逃げれば、すむこと。一番、楽な方法。

だけど…。

ダメだ。身のため。傷つかないため。

逃げるんだ、私は。

『失礼します…。』

小声で言って、横を通り過ぎてく。

「…何逃げようとしてんの?」

痛っ!

腕をガシっと捕まれ、耳元で呟かれた。

ブルブルと肩が震える。

怖いっ…!

必死に、手を振り払おうとするけど、井上さんの力には勝てない。

逃げたいっ…!

『ごめんなさい…!ごめんなさい…!』

怖くて、怖くて、必死に謝る。

すると。

「えー。ナニソレ。あたしが悪いみたいじゃん。しょーがないな。許してあげるっ!」

笑顔で言って、手を離す。

意外だった。

すぐに離してくれた事が。

「優しいあたしに感謝してよねっ!」

感謝しないと…、また攻撃される…。

まだズキズキと痛む腕をさすりながら、

『ありがとうございます…。では。』

頭を下げて、また逃げ出す。

逃げろって、頭で命令されたから。

「あっ!田中さん!」

『…何ですか?』

今度は…何?

また、何かいわれるのかな…。

嫌な感じがしながらもゆっくりと振り返ると見えたものは、悪魔のような笑顔だった。

「クリパ、楽しみにしててね。」