大切なもの

「薫ちゃん、入らないの?」

アズちゃんが聞く。
その姿に、私は怒りを覚えた。

「アズちゃん、あなた、なんで私の家に住んでるなんて言うの?」
「……薫……ちゃん?」
「大山さん……?」

二人が顔を覗き込む。

「ここは私の家だよ?」
「違うよ。アズちゃんの嘘つき」

嘘つき、と聞いてアズちゃんのからだがピクッとなった。

「とりあえず家に入りなよ。アズも、大山さんも。話をゆっくり聞こう」

敦くんの安定した声にうなずき、ドアを開けた。