大切なもの

アズちゃんは、まだ遠くには行ってなかった。
五分で追い付いたからだ。

「アズちゃん」
「足、速いね。これでも学年十位だよ」
「元陸上部だもん。私は学年三位だから」

違う。
こんなことを言いに、走ったんじゃない。

「ゴメンね。ほんとに私、絵を描いているから」
「美術部なの?」
「ううん。帰宅部。絵は習っているの」
「スゴいね!!ところで、私の家に来る?」
「是非おじゃましたい!!」
「じゃあ、敦は?」

そういえば………

「置いてきちゃった……」
「じゃあ、メールで呼び出すから」

アズちゃんがスマホを取り出す。
いいなあ。
私はガラケーだ。
しかも、家に置きっぱなし。
学校には持ち込み禁止だから。

「疲れるけど、君のためならすぐ行くって」

は!?
敦くんって、アズちゃんLOVE!?

「ウソ」

なあんだ。
と言うわけで、私たちは敦くんを待つことにした。