「じゃあ、この問題を大山、答えてみろ」

退屈な数学の時間。
欠伸をたくさんしていたら、先生に当てられた。

「えっと、12です。」

慌てて立ち上がると、みんながクスクス笑う。

「それは(1)だろう。俺が言ったのは(2)だ。」

うわっ、間違えた。
みんなはもう爆笑。
泣きたくなってきた。

「じゃあ51です」

ノートを見ながら慎重に答える。
でも、またみんなが笑い出した。

「全く違うな。もういい。鈴野、答えてみろ。」

鈴野さんが立ち上がる。
鈴野さんは頭が良く、学級委員をしている。

「61です」

あっ、10を足すの、忘れてた……
気づいたときには遅かった。

「正解だ。大山、分かったか?」

先生がまた絡んでくる。
みんなも一斉にこっちを見る。

「……はい。」

小さい声で答えたら、

「なんだ?聞こえないぞ」

と言われた。
絶対聞こえてるくせに。

「分かりました」

大きな声で嫌みっぽく言うと、

「なんだその態度は!!後で職員室に来い」

と怒鳴られた。
みんなは同情というより、「面白そう」という目で見てくる。
私、生きててもからかわれるだけ………。