何気なくみた校庭には

サッカー部や野球部
ソフト部たちが
キラキラとしていた。


青春。
そんな二つの言葉が
頭に浮かぶ。


「あ、いたいた!」


後ろを振り返ると
昨日であった
野球少年
夏希だった。

「あ、昨日ありがとう」

「大丈夫大丈夫!なにしてたの?」

「いや…ただみてただけ」


夏希は
私の顔をみつめたあと
校庭をみつめ
語りだした。

「君ってさ名前なに?」

「美優」


「美優ちゃん、マネージャーやらない?」



マネージャー……



聞いた瞬間
あの瞬間が
頭に浮かんだ。

そして
目の前がみえなくなった。


気がつくと
私は保健室にいた。


夏希もいた。

夏希は
保健の先生から
飲み物をもらっていた。

「あ、美優ちゃん!起きたー!よかったー…」

夏希は
安心した顔で
私をみつめた。

「よかったー、ほんと…大丈夫?なんか嫌なことあったの?」



夏希は私に飲み物を
渡すと不思議そうにきいてきた。

この人
観察力ハンパない…。

私は
飲み物をのみほすと
夏希にいった。

「昔、マネージャーやってて嫌なことあったから思い出したらこうなったの」

私がいうと
夏希はびっくりしてた。


でもそれ以上は
なにも聞かなかった。


時間だけがすぎる。
空いていた窓から
野球部の声がきこえた。


夏希は
窓をみつめながら
ゆっくり話し出す。


「俺、今年いなくなるんだ」


ふって
笑った夏希は
私をみながらまた笑う。

「最後に美優ちゃんに会えてよかった」



「…なんでよかったの?」

「美優ちゃんみたいな子珍しいじゃん」


夏希は
真面目な顔をして
私に視線をあわせた。


「マネージャーになってほしかったんだ。本当は…人数いないし。でも美優ちゃんがキツイならいいけどね!俺、今年はいないけど…戻ってきたらマネージャーになってね」


満面の笑みで微笑んだ
夏希は
どこか寂しそうだった。



なんでいなくなるの?
なんで私なの?


質問しようとしたのに
夏希は野球部に呼ばれて
校庭へでていった。


そんな夏希を
私はただただ
静かにみていた。