雨が降っていた。
なんだかまるで
今の私みたい。
好きな人に
振られた美優は
傘もささずに
ただ立っていた。


むしゃくしゃ
してた。
だから
濡れたかった。
なんて理由を
頭で考えながら。


美優は
上をみあげる。
どんより雨雲。
やまない雨。
全部が
自分にみえた。


「あのさ…」


いきなり上から
声が聞こえた。

「ひゃあ!」

「あ、ごめん!脅かすつもりはなかったんだけど…」


美優は
恐る恐る
顔をみつめた。
キリッとした顔立ち。
野球部だろうか?
頭は坊主で
どこかチャラい。


みたことない男子が
私に話し掛けている。

んー
だれ?

私は頭のなか
ハテナがいっぱいだった。
そんな私に
気づいたのが
男子は笑いながらいってきた。


「俺、野球部の夏希!よろしく!」


にんまり笑った
夏希の笑顔は
まぶしかった。

夏希は
傘を美優に差しだした。

「使って」


「いいよ!私、濡れたかったから」

「え?なんで!?」

「んー…気分?」


夏希は
しばらくポカンととしていたが
いきなり
アハハと笑いだした。


「変なやつー!」


変?
私が?

驚いて
夏希をみたら
夏希は
傘を
私の肩へのせた。

「傘、かわいそうだから使いな!傘が濡れるならわかるけどね」

「……意味わかんない」

私が笑うと
夏希も笑った。


それが
私と夏希の
出会いだった。