「ふーじさきさーんっ」

今日も彼は私の家にきた。

同じクラスらしい、本郷唯斗。

何故“らしい"と言ったかというと、私は進級してから1回も学校に行ってないのだ。

自宅警備員と言えば聞こえはいいだろうが、実際の所、引きこもりまたは不登校というやつだ。

「千歳、そろそろ学校に行ったらどうだ?」

そう私に声をかけてきたのは2つ上の兄、千影。

この春、県内の名門進学校に入学した自慢の兄だ。

「お兄ちゃん、遅刻するよ?早く行けば?」

私が学校に行かないことについては、お父さんもお母さんも知らない。

仕事仕事。

家族と話そうともしないあの2人は、私達兄弟についてはどうでもいいんだ。