そういえば、気づいたらいつも横にいるのはあいつだった。
何でだろ?
そんなことを考えてたら、あることを思い出した。
…初めて出会った時のことだ。
最初にあいつを見たのは中学2年の春休み明け初日。
あいつと、初めてクラスが同じになった日。
やたらでかくて、明るくて、馬鹿っぽいなぁ……っていうのが第一印象。
何日かして、話しかけてきたあいつは、案の定馬鹿だった。
「ねぇ、消ゴムそっちに転がってこなかった?」
「…無いけど」
「無い?あれぇ、おかしいな。どこにいっちゃったんだろ……」
って言ってるにも関わらず、手にはしっかり消ゴムが握られてた。
「……ぷっ」
「Σえ!な、何?どうしたの!?」
本当に馬鹿。だけど、それが逆に暖かかった。
暗くて堅物なあたしを、そのアホみたいな明るさが柔らかく、ほぐしてくれる。
まるで、真っ暗い夜空を暖かい光で照らす、真ん丸な月の様。