『……事故にあった、だけだ』 これぐらいしか言えない。 「事故?それで気がついたらここにいたのか?」 『あぁ』 「そうか…辛いめにあったな。渚君は帰るところはあるのかい?そろそろ夕暮れだ。親御さんが心配する」 『帰るところなどない』 「え?なぜないんですか?」 『親もいない』 いるにはいるが、いてもいないのと同然。 「まぁ、この時代ならいなくてもおかしくはねぇな」 そう、自分の思いのためなら人を斬る時代