焼き場で、ちょうど今焼きあがったばかりの麻弘の骨が出された。
若いからか、白くて太い骨が何本もある。
「こちらが、喉仏になります。頭蓋骨とは別に収めてしまいます。そのほかの骨は、皆様で拾っていただき、骨壺へ入れてください」
そう言うと先に、葬儀屋が、頭蓋骨を大きな骨壺へ入れると、小さな骨壺へ喉仏とあと小さな骨を入れた。
それに続くように、父、母、私という順で、麻弘の骨を拾い、骨壺へ入れた。
残った骨を再び、葬儀屋が骨壺へ余すことなく入れ、骨壺の蓋をした。
それぞれ専用の袋に骨壺を入れると、父に持つよう指示をした。
ヒノキの棒に文字が入ったものと、小さな骨壺を母が持った。
私は、麻弘の遺影をしっかり胸元で抱きしめた。
「出口は此方になります」
葬儀屋に案内されるがまま、私たちは後をついていく。
「これにて葬儀はすべて終わります。お気をつけてお帰りください」
深々とお辞儀をし、私たちを見送ってくれた。
「今日もそっちに泊まるよ」
「うちは遠いから、落ち着いたら顔を出しに来て」
「本当、今日までどうもね。ん、落ち着いたら遊びに行くから」
母たちの挨拶もそこそこに終わると、各々、車で家に帰る家族、我が家に寄ってくれる家族と別れた。
「慌ただしかったね」
「そうだな。でも、うちは四十九日が過ぎるまではばたばたしてると思う」
父は運転しながら話した。
「これからまだ決めることもあるし、しばらくは忙しいね」
母は愛おしそうに麻弘の骨壺を抱きしめている。
「うちより火葬場に後に入ってきた方が先に終わってたね」
「たぶん、麻弘は若かったから、骨になるまで時間がかかったんだよ。しっかりとした骨だったでしょ。その点、年を取ると骨ももろくなるから、焼きあがるまで時間かからないだよ」
車内の会話も続かなくなり、無言のまま車は家へと向かって走った。