「今回は、本当にどうもありがとう」
「いやだ、川ちゃん。そんな辛気臭い顔をしないで。でも、一段落ついた感じだね」
伯母は心底、ホッとした顔をしている。
お寿司を食べ終わってもなお、宴会は続いて、こうして麻弘とのお別れも、楽しく過ごすことができた。
気が付くと、時計の針は、零時を過ぎようとしていた。
「そろそろお開きにしないとね。私たちも帰るんだから、父さんもお酒その辺にして、いい加減寝るよ」
「おー、嫁さんってのは怖い生き物だこと。よっこらせ」
伯父はフラつきながらも立ち上がって、既に布団が敷かれた部屋へ移動した。
「後片付けもあるけど、それは明日……、もう日付変わったから今日、私たちが帰った後でもしてね。それじゃお休みなさい」
伯母は、簡単に歯磨きなどを済ませると、伯父の隣に寝た。
私たちも各々、歯磨きなどを済ませ、各自寝室へ行く事にした。
私も珍しく、ベッドに入ると朝まで目を覚ますことはなかった。


翌朝、目を覚まして下へ降りていくと、母たちは既に朝食を済ませた後だった。
「おはようさん。先に朝食頂いたからね。あとは、あんたと優実がご飯を済ませたら、伯母さんたちは帰るわ」
伯母はせっせと化粧をし、帰り支度を始めている。
「私に早くしろって急かしてるでしょ」
優実さんは、眠い目をこすりながらテーブルについた。
「いつまでものんびりしていられないからね」
「たまにみんな集まった時くらい、ゆっくりご飯食べさせてよね」
優実さんは愚痴る。
「そうもいかないって。お母さん、家の事途中でぶん投げて来たんだからね。口だけでなく手も動かす」
伯母は祖母の荷造りを手伝っている。
その間、私たちは朝食を済ませる事にした。
「これからは、家族3人仲良くね。たまに遊びにおいで」
「姉さんたちも気を付けて帰ってね」
玄関の外まで見送った。
「急に寂しくなったね」
しんみりと母は言う。
昨日まで、お通夜だ、告別式だなんだと親戚が集まっていて賑やかだったが、その親戚も帰っていってしまうと、一気に静かになった。
「まだ3人っていう自覚がないな。だけど、前に進んでいかないとね」
私は空を見上げた。
そして、心の中で私は、麻弘にありがとうと呟いた。