「それにしても、姉さんがいなかったらまだ決まってなかったとこだったよ。居て助かった」
「そんな事ないって。それより、お腹すいてないかい?」
伯母は財布を取り出した。
「ちょと、姉さん。ここは私たちが礼をするんだから、そんな事やめてちょうだい。美味しいお寿司屋さんがあるの。出前でも取ろうか?」
母はショーケースの引き出しからチラシを取り出して、さっそく電話をする。
「あともう少ししたら届けてくれるって」
「まるで宴会みたいだね。それにしても、告別式の時の会席料理は美味しかったね。あそこ、どこの?」
「どこだかちょっと忘れたけど、美味しかったよね」
母は私に目くばせをする。
私は人数分のグラスなどを用意した。
「お父さんたちは、まずはビールでいいかい?」
「お、いいね、ビール」
「おいしい酒が飲めるならなんだっていいよ。こっち来て少し休んだら?」
すっかり我が家モードの伯父が、ソファーに胡坐かいて座っている。
「そういえば、東京は?」
母は、兄弟が多いのでたまに地名で自分の兄弟を表現することがある。
「ああ、東京はね、あまりにも急だったから、飛行機も簡単に手配できなかったんじゃないの? 兄さんだけならいいけど、甥も一緒に来たらややこしくなるね」
伯母が珍しく苦笑いをする。
「あの子、急に気難しくなることがあるからね」
母までが東京の親戚の子をよく思っていない。
「どうやら出前が来たようだよ」
窓から、目の前の軽自動車から人が降りて来たのを確認したのか、玄関口で出前のお寿司を受け取った。
「さ、ご飯にしようか」
一回り大きい卓袱台の上に寿司桶を二つ並べた。
「どれも美味しそうだね」
ラップを剥がしながら、伯母は瞳を輝かせている。
「こんな時に言うのもなんだけど、皆集まるとお寿司になるよね」
「そうそう。出前が一番楽だからね。母さんも少し食べるかい?」
母は、取り皿に祖母が食べられそうなお寿司を取り分けている。
「床に座るのは疲れるからテーブルで食べて」
「そうさせてもらうよ。熱いお茶があればもっといいね」
祖母はテーブルに着いた。
「一応わさびは取ったからね。ここにおいておくよ」
「はい。ありがとね。幸恵もこっちで食べるのかい?」
「うん。正座が苦手で……。テーブルで食べるのに慣れたってのもあるけどね。ばあちゃんと食べるのも久しぶりだね」
私は祖母の向かいに座って、取り分けてきたお寿司を食べる。
「美味しい」
卓袱台を囲んで母たちはおしゃべりをしながら、お寿司を食べている。
父たちは、アルコールが入って機嫌がいいようだ。
「父さん、またご飯残してる!」
「細かいことはいいの。上の部分だけ食べたいんだから」
そう言って伯父は笑った。
「義兄さんは酒と刺身があれば十分だよね」
父はコップにビールを注ぐ。
「気が利くね。やっぱり旨いビールが一番だ」
伯父は注がれたビールを半分ほど飲んだ。
「そんな事ないって。それより、お腹すいてないかい?」
伯母は財布を取り出した。
「ちょと、姉さん。ここは私たちが礼をするんだから、そんな事やめてちょうだい。美味しいお寿司屋さんがあるの。出前でも取ろうか?」
母はショーケースの引き出しからチラシを取り出して、さっそく電話をする。
「あともう少ししたら届けてくれるって」
「まるで宴会みたいだね。それにしても、告別式の時の会席料理は美味しかったね。あそこ、どこの?」
「どこだかちょっと忘れたけど、美味しかったよね」
母は私に目くばせをする。
私は人数分のグラスなどを用意した。
「お父さんたちは、まずはビールでいいかい?」
「お、いいね、ビール」
「おいしい酒が飲めるならなんだっていいよ。こっち来て少し休んだら?」
すっかり我が家モードの伯父が、ソファーに胡坐かいて座っている。
「そういえば、東京は?」
母は、兄弟が多いのでたまに地名で自分の兄弟を表現することがある。
「ああ、東京はね、あまりにも急だったから、飛行機も簡単に手配できなかったんじゃないの? 兄さんだけならいいけど、甥も一緒に来たらややこしくなるね」
伯母が珍しく苦笑いをする。
「あの子、急に気難しくなることがあるからね」
母までが東京の親戚の子をよく思っていない。
「どうやら出前が来たようだよ」
窓から、目の前の軽自動車から人が降りて来たのを確認したのか、玄関口で出前のお寿司を受け取った。
「さ、ご飯にしようか」
一回り大きい卓袱台の上に寿司桶を二つ並べた。
「どれも美味しそうだね」
ラップを剥がしながら、伯母は瞳を輝かせている。
「こんな時に言うのもなんだけど、皆集まるとお寿司になるよね」
「そうそう。出前が一番楽だからね。母さんも少し食べるかい?」
母は、取り皿に祖母が食べられそうなお寿司を取り分けている。
「床に座るのは疲れるからテーブルで食べて」
「そうさせてもらうよ。熱いお茶があればもっといいね」
祖母はテーブルに着いた。
「一応わさびは取ったからね。ここにおいておくよ」
「はい。ありがとね。幸恵もこっちで食べるのかい?」
「うん。正座が苦手で……。テーブルで食べるのに慣れたってのもあるけどね。ばあちゃんと食べるのも久しぶりだね」
私は祖母の向かいに座って、取り分けてきたお寿司を食べる。
「美味しい」
卓袱台を囲んで母たちはおしゃべりをしながら、お寿司を食べている。
父たちは、アルコールが入って機嫌がいいようだ。
「父さん、またご飯残してる!」
「細かいことはいいの。上の部分だけ食べたいんだから」
そう言って伯父は笑った。
「義兄さんは酒と刺身があれば十分だよね」
父はコップにビールを注ぐ。
「気が利くね。やっぱり旨いビールが一番だ」
伯父は注がれたビールを半分ほど飲んだ。


